やっと、やっと…
第11章 人の夢は儚くて
「唯、こうやって
あいつにも抱きしめられたの?」
私を抱きしめながら圭介が言う
私は震えて
何も答えられなかった
口もわなわなと震えて
“やめて”とすら言えない
圭介は体を離し
私の頬を、唇を撫でる
「こうやって、触られたの?」
私を見つめる圭介は
切なく眉を寄せる
(なんで、
なんでそんな顔するの…?)
「唯は、俺のものじゃないの?」
そう言われた瞬間
空気の流れさえも止まったようだった
私の唇に
柔らかいものが押し当てられた
私は目を見開き
状況を理解しようとした
唇に何かを感じてからすぐ、
目の前の圭介が満足げに笑う
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