テキストサイズ

仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第6章 三つめの物語~砂漠の鷹~

 翠華は我が身にそれだけの価値があるとは思えず、行きずりの人にすぎない修明が何故、自分にそこまでの優しさを示してくれるのか解せなかった。初めは自分の身体目当てかと勘繰ってしまったが、どうやらそれは大きな見当違いであったようだ。
「―ありがとうございます」
 翠華には、そのひと言しか言えなかった。自分には彼の恩情に報いるだけのものは何もない。何と言って良いやら言葉もない翠華に、修明は優しい笑みを浮かべた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ