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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第6章 三つめの物語~砂漠の鷹~

 その背中は、ついて来たければついて来いと言っているようにも見えた。少女は少し迷った挙げ句、駆けだした。どうせ、他にゆくべき当てもない寄る辺ない身の上なのだ。やがて、頬に疵痕のある男と少女の姿もひっきりなしに行き交う人群の中に吸い込まれ、見えなくなった。
 露天商の男は、二人の消えた人群をずっと見ることもなしに見つめていた。

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