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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第6章 三つめの物語~砂漠の鷹~

 その主人の亭明禄といえば、情け容赦もない男としてまたその名を知られている。抱えている娼妓をそれこそ物のように扱い、酷使するという専らの噂だ。亭はまた町の顔役でもあり、亭に逆らってこの町で無事に暮らすことはできないとまで言われている。
 あまりの非情さに影では「蠍」と呼ばれていた。
「ホウ、あの情け知らずの『蠍の亭』の用心棒か。さしずめ、蠍に飼われた犬というところかな」

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