悪魔と淫美な世界へ
第6章 ~揺さぶられる心~
「美蘭と潤那から面白い 事を聞いて、見に来た んだよ
その人間…話しは本当 みたいだね」
「お前の所に行ったか」
「ああ
おかげで退屈しのぎの 玩具ができて助かった よ
今度は殺さないように 気おつけないとね」
っ!?
この人…なんか怖い…
ゆきは苦しそうに息を乱しながらも、怯えた様子で魁に身を寄せた。
「用はそれだけか?
パーティーに参加しな いのなら、早く城から 去れ」
「ああ、そうだね
でもその前に…
皆、今回の魁の相手は 人間みたいだよ」
「人間っ!?」
「何で人間がっ!?」
黒胡の一言で悪魔達はその行為を止め、魁の膝に座るゆきを見て騒ぎ出した。
「俺が選んだ相手だ
文句があるならここに 来て言え」
「あ…」
「じゃあ、皆の代わりに 俺が言おう」
黙ってしまった悪魔達を見かね、黒胡は沈黙を破る様に口を開いた。
「王が人間の女を本気で 愛するなどあってはな らない事態だ
今すぐその人間を殺す か、人間界に返す事を 申し立てる
皆もそう思うだろう? 」
「そうだっ」
「もちろんよ!」
黒胡に賛同する悪魔達の声に、魁の顔は険しさを増していった。
「そうか…それなら仕方 ない
黒胡に賛同した者は、 今すぐ俺にその首を差 し出せ」
「魁様に逆らうつもりは っ…」
「そうよ…」
「なら、これでパーティ ーはお開きだ
いいな?」
殺気のこもった目で悪魔達を睨み付ける魁。
悪魔達は身の危険を感じた様に、いそいそとその場を後にして行った。
「黒胡、お前もだ」
「兄に向かってその口の 聞き方は気に入らない ね」
やっぱり兄弟だったん だ…
「お前を兄だと思った事 などない」
「フッ…俺もだ
その人間のおかげで、 お前から王の座を取り 戻す時は近い」
嫌な笑みを浮かべ、黒胡は羽を広げ勢い良く飛び立って行った。
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