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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第2章 禁断の恋

 もし自分が強い女に見えるのだとすれば、多分、それは見せかけの強さに違いない。けれど、王には、ただ前に進むことしかできなかった明香が〝強い〟女に見えるのだろう。誰も手を差しのべてやらずとも、一人で生きてゆくことのできる女に。
「主上(サンガンマーマ)、主上」
 遠くから王を呼ぶ声が聞こえてくる。
 明香は呼び声に、急速に現実に引き戻された。

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