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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第2章 禁断の恋

「孫尚宮は色々と苦労したのだな」
 感じ入ったように王が言うのに、明香は微笑む。
「いいえ、私はまだしも幸運の星の下に生まれたと感謝こそすれ、苦労したと思ったことはございません。十一で入宮した際も、このまま伯父の厄介になって、意に添わぬ男に嫁がされるよりは、いっそのこと宮廷にご奉公に上がった方がよほど良いと考えたからにございます。宮廷に上がれば、少なくとも自分の力で生きてゆくことはできますから」

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