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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第2章 禁断の恋

 恋とも呼べぬ、淡い想い出だ。祖父を除けば、伯父夫婦を初め幼い従弟妹たちまでもが明香を使用人扱いしていたにも拘わらず、明香よりも四つ上の従兄だけが明香を一人の人間として見てくれた。
「そうなのか。だが、孫尚宮。そなたは、好いた男がいるにも拘わらず、宮廷に入ったのか」
 明香は淡く微笑した。

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