テキストサイズ

秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第4章 心のゆくえ

 先夜、王との間に決定的な事実があったのかと問うた時、孫尚宮の返した返事が気になる。
―そのようなことがあるはずもごさいませぬ。
 柳尚宮ではなく、孫尚宮その人に自ら言い聞かせるような物言いには、王への抑えがたい恋情が滲み出ているようにも思えた。
 王にまた自らも恋心を抱きながらも、自分はふさわしくはない女なのだとひたすら自分自身に言い聞かせているような。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ