イケない同棲生活
第4章 4――偽装生活
それから、彩織に問い詰められた私は、昨日の夜のことを除いて話をした。
「事故とかそんなんじゃなくて、本当よかったよ…」
と、涙目で言ってくれた時は本当に嬉しかったけれど、申し訳なさもある。
こんなに心配してくれていた親友が居たのに、私はあの男と…。
「……の」
残業が終わっても、裏からでてそのまま逃げようか。
悪いけれど、暫くは彩織の家にいかせてもらって、そこから――
「あの!!!」
「はいいいぃいぃ?!」
ぐわんっ!!突然近くで大きな声が聞こえ、慌てて返事をして振り返れば、
「仕事終わったんなら、そこどいてもらっていいっすか?」
私の前にあるコピー機を指差してそういう、不機嫌全開の男が紙をひらひらとさせながら立っていた。
やばい、仕事中に考え事してた…。
「あっご、ごめんっ」
「謝る時間あるなら、そこ、どいてください」
慌てて謝るも、べしっと、まるで埃のような扱いで払われた私は、まさに目が点。
…この子確か今年はいってきた…そう、女の人達が騒いでた人だ。
確かにさぁ、栗色の髪とか?睫毛が長いとか?鼻が高いとか?顔立ちは整ってるよ?けどさ…
「まだいたんっすか。そんなんじゃ仕事遅れますよ?」
「……」
態度がありえなくないですか?!
私先輩ですよね?!
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