
旦那様と甘い日々
第4章 chapter 4
「右京さん!」
振り向けばさっきまで電話をしていた右京さんが一人の男の腕を押さえていた。
そんな彼はこちらへと目線だけ向けると、
「文の友達?」
「や、…ちがっ……」
「そう、だったらナンパだね」
「っ……」
彼は冷静な物言いで言うと私からその男たちを引き離し、今度は私のことを自分の方へと引き寄せた。
そして、
「人妻に手を出すなんて良い度胸だよね」
尊敬するよ、と言い放った彼の言葉に男二人は「え、」と戸惑ったように声を漏らした。
そんな男たちの様子を鼻で笑った彼は私の肩を抱くとその場を後にしようとする。
「左手見ろよ」
そう呟いた彼はそのあとすっかりと黙ってしまって、私は彼に引き連れられるように足を進めた。
助けに来てくれた、嬉しい。
昔、付き合ったばかりのころ、電車で痴漢されたことがあって、それも右京さんが助けに来てくれたことを思い出した。
右京さんは結婚しても私のヒーローだ。
