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身代わり妹

第2章 嫉妬

「お疲れ様でした」


どうにか今夜の工場でのバイトを終え、外へと出る。


クリスマスが近付き浮かれる街。

真夜中になり、そのイルミネーションも消え、

独り身の私には尚更夜風が冷たく感じる。



バタンッ

真後ろで聞こえた車のドアの開閉音に、驚いて振り返れば、


「─────凌太っ!?」


車から出て私に近寄るその姿に、一気に血の気が引く。



「ここでバイトしてたって事か…」

「あの…これは、その……」


きっと私がここへ入るのを見てたんだ。

言い訳するだけ無駄な気がする。



「いつもこんな夜中に?」

「はい……」


「まさか毎日?」

「……毎日」


「休みなしで毎日夜働いてたのか⁈」

「…………」


「美優、体調の悪さはこのせいだろ」

「…………」



頭の中が真っ白になる。


何も言い返せない。

副業がバレた今、何をどうすればいいのかもわからない。



「何で頼らないんだよ!」


怒りを露わにする凌太。


「ごめんなさい……

でも…これ以上、凌太や由美さんに迷惑は掛けられない……」


「迷惑なんて思ってねぇよ!」


凌太の温かい胸に、キツく抱き締められる。


このまま、甘えたくなる。


必死に抑えている気持ちが爆発しそうになる。




─────苦しい…。

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