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身代わり妹

第16章 【プレゼント】第一章・宝物

秋村 凌太[あきむら りょうた]とは、凌太が10歳、私が5歳の時に、凌太の母 由美さんを介して出会った。

母や姉から酷い扱いを受けていた私を、由美さんは娘のように可愛がってくれた。

幼い頃は凌太を異性として見ていなかった。
でも、声が低くなったり、背がグンと伸びたり、身体つきが変わったりして、気づけば凌太に会う度ドキドキと胸を高鳴らせていた。

凌太が医大を卒業すると同時に付き合い出した。
お互いに働いていて、凌太は研修医。電話どころか、メールのやり取りすらままならない。

会えない時間の方が多かったけど、会えた時は本当に大切にしてくれた。


"清潔感第一!"
父親である院長先生の言いつけを守り、黒い髪は短く切り揃えられ、身だしなみもいつもキチッとしている。

その心の強さを示す切れ長の瞳、薄く引き締まった唇。今では、その瞳は優しく細められ、口角はいつも上がっている。

33歳になった凌太は、相変わらず子供たちに甘く近所でも有名な親バカ。
でも、私の全てを許し包み込んでくれる優しさも相変わらず……。


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