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身代わり妹

第9章 再会

秋村病院には、産婦人科はない。

私は、由美さんの友達が婦長をしているという近くの産婦人科へ運ばれる事になった。



「……凌太……」

後部座席に横になり、運転席の凌太を見る。


「ん?」

運転中の凌太は、ミラーでこちらをチラリと見て答えた。



「赤ちゃん…大丈夫かな……」

あの激しい痛みは、少しずつ治まってきていた。

でも、怖くて仕方ない。

この子は…

私に生きる希望をくれたから……。

何があっても守りたい。



「俺も美優も子どもの頃から丈夫だっただろ? 俺らの子どもなんだから、絶対大丈夫だよ」


あ─────…


”俺らの子ども”

凌太、今、そう言った?


なんだ……確信しちゃってるよ……。



「売春…した女……簡単に信用していいの…?」

一瞬の沈黙の後、

「……わざと避妊しなかったから」

「え?」

凌太の口から驚くような言葉を聞かされた。


付き合ってる時は滅多に会えなくて、そういう事もそんなに何度もしていないけど。

でも凌太はちゃんと避妊してくれてた。


別れてから何度か身体を重ねた時、

一度も避妊しなかったのは、それだけ私がどうでもいい存在になったのだと思ってた。


でも……


「美優が妊娠したら誰にも文句言われず美優を手に入れられるって…。だから避妊しなかった。

身勝手な事してごめん。

でも俺は美優が妊娠する事を望んでた」


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