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身代わり妹

第6章 暗転

「すみません。今日は安静にさせたいので連れて帰ります」


大山さんに声を掛けて休憩室を出る。

それに気付いた工場内のスタッフ達が、作業の手を止めてワラワラと寄ってきた。


「美優ちゃん! 大丈夫か⁉︎」

「無理し過ぎなんだよ、休みなさい!」


まだ意識が朦朧としている美優に皆は心配そうに話し掛け、その背中をさすった。


誰1人美優を悪く言わない。

ここでも可愛がられているんだろう。


美優を可愛いがらないのは、きっとあの母親と美姫くらいだ。




シートを倒した助手席に美優を乗せ、寮ではなく自宅へと戻る。


(こんな状態の美優を1人で寮には置いて来れないからな)

誰にともなく言い訳をし、美優を俺のベッドに寝かせ、自分もその隣に身体を横たえた。



(寝顔はホント変わんねぇ…)


バイタルもすっかり落ち着いた美優。その寝顔は穏やかだ。

美優の寝顔を見ながら、いつの間にか俺も寝てしまっていた。


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