
不器用なタッシュ
第13章 奪回
「大丈夫…じゃあ…」
小田切に気を使いながら香織が通話を切ろうとした瞬間――――
「なっ!」
「もしも~し!小田切さ~ん」
『…須永くん…彼女を早く帰してくれないかな』
俺は携帯を奪ってやった。
受話をスピーカーにして、香織にも小田切にも聞こえやすくしてやる。
湧き上がる不愉快さを叩き付けるように、俺は小田切と話し始めた。
「はぁ~?何で部外者のあんたにそんなこと言われなきゃならないの?今日は、香織貸してあげるよ」
「ちょっと!嘉之!」
『…彼女は、モノじゃないだろ』
綺麗事言いやがって。
香織はずっと、俺のなんだよ!
怒りとともに胸の真ん中で固まって栓になったインクが噴き出して、俺を真っ黒に染め始める。
「でも、少なからずあんたのもんじゃない…俺たち身体の関係もあるから。昨日だって時間が許す限り抱き合ってたし…香織はダウンしたけど可愛い声だったよ…」
「なに言うの!止めてよ!」
『それが?』
香織は話を止めようと、俺の腕を掴んできたが、電話の向こう側の小田切は、さもお見通しみたいに全然動じていない。
スカしやがって…。
小田切が目の前にいるかの如く、フロントガラスを睨み付けた。
小田切に気を使いながら香織が通話を切ろうとした瞬間――――
「なっ!」
「もしも~し!小田切さ~ん」
『…須永くん…彼女を早く帰してくれないかな』
俺は携帯を奪ってやった。
受話をスピーカーにして、香織にも小田切にも聞こえやすくしてやる。
湧き上がる不愉快さを叩き付けるように、俺は小田切と話し始めた。
「はぁ~?何で部外者のあんたにそんなこと言われなきゃならないの?今日は、香織貸してあげるよ」
「ちょっと!嘉之!」
『…彼女は、モノじゃないだろ』
綺麗事言いやがって。
香織はずっと、俺のなんだよ!
怒りとともに胸の真ん中で固まって栓になったインクが噴き出して、俺を真っ黒に染め始める。
「でも、少なからずあんたのもんじゃない…俺たち身体の関係もあるから。昨日だって時間が許す限り抱き合ってたし…香織はダウンしたけど可愛い声だったよ…」
「なに言うの!止めてよ!」
『それが?』
香織は話を止めようと、俺の腕を掴んできたが、電話の向こう側の小田切は、さもお見通しみたいに全然動じていない。
スカしやがって…。
小田切が目の前にいるかの如く、フロントガラスを睨み付けた。
