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不器用なタッシュ

第10章 鎖

「うん!ちょっと見ていいかな!」


テンションを上がったのか、急いで歩いて行こうとする香織に手を取って


「いいけど…ほら!」


「へっ?手…」


「いいから、行くぞ」


強く握り、引っ張って歩き出す。


俺の歩調に小走りで香織は付いてくる。


アウトレットなんて来た事なかったが、結構な人混みで正直、面倒臭くなりそうだった。


通りすがる女が何人か、ガン付けてきてる様にさえ思えて鬱陶しい。


香織が奨めてきた洋服とかも一緒に見たりして、いつもと違う盛り上がりには、なんだかちょっとくすぐったくもなったけど…


しばらく歩くと、俺が気になっていた店を見付けた。


『Felice』


「香織、あそこ行こう!」


「わっ!えっ…」


香織の手を思いっきり引いて、ジュエリーショップまで連れて来た。


俺たちを見るやターゲットを定めて、店員の女がやってくる。


「いらっしゃいませ!何かお探しですか?お気に召したのがありましたら、出しますので~!」


ジュエリーとか詳しくはないが、デザインのネタとかで宝石を調べた事もあったから、『誕生石』くらいは知っていた。


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