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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第21章 番外編第四話【轍~わだち~】

 若い頃は評判の美人だったという祖母は、祖父と離婚後は、この北の小さな海辺の村の小学校の教師をしていた。こんな僻地の村の小学校の教師にしておくのは勿体ないと言われたそうだ。再縁の話もいくつもあったと聞くが、祖母はやんわりと微笑みながらも頑としてそれらの縁談を拒絶した。自分が愛していたのは終生、浩三だけだと祖母は堂々と宣言してはばからなかったという。

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