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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第19章 番外編第三話【秘恋~背徳の恋~】 濁世の花

 ふいに、涼しい風が二人の間を吹き抜け、睡蓮の花弁をわずかに揺らした。
 そのひんやりとした風に心地良さげに眼を細め、織部が黄色の花に視線を向ける。
「あなたは、いつもこの寺の奥深くでこうして心静かに自然を愛でていらっしゃる。だからこそ、そのように澄んだ瞳をお持ちでいらっしゃるのでしょうね。私など俗世の垢に染まりきった身には到底考えられないことです」

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