テキストサイズ

空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第19章 番外編第三話【秘恋~背徳の恋~】 濁世の花

 その翌日。
 光円は庭に出ていた。俗世との拘わりを絶った身には、寺の中がすべての生きる世界であった。こうして庭に一歩出てみれば、自然を五感で感じることができる。眼を閉じれば、風の揺らぎ、樹々のざわめき、小鳥のさえずり―、心が澄み渡り、あたかも自分の心が周囲と一体に、いや溶け込んでしまったのではないかと思うほどに、自然を身近に感じる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ