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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第18章 番外編第二話【薔薇ものがたり】 薔薇の乙女 

「先刻、お前の恋しい男が暇乞いに来たぞ。これを渡して欲しいと言っていた」
「え―」
 浩三の差し出したのは、一冊のスケッチブックであった。受け取り、ページをめくる指先が震える。どのページにも弥生が描かれていた。笑っている顔、少しすねたような顔、おどけて見せる幼い顔、実に多彩な表情の弥生がそこにいた。

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