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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第17章 番外編第二話【薔薇ものがたり】~或る画家の絵~

「ここのマスターの淹れる珈琲は絶妙でしょう?」
 訊ねてよこす男の顔を窺うように、傍らに座る級友(クラスメート)の一人が控えめに小声で耳打ちしてきた。
「ねえ、私たちは先に帰ってるわ」
「いいのよ、私ももう帰るから」
 弥生が慌てて立ち上がろうとするのに、級友は茶目っ気たっぷりに片目を閉じてよこした。

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