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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦

 着物はもう着なくなったのだろうか、今日もまた洋服姿である。こうして見ると、浩三は案外に着物よりも洋装が似合うのかもしれないと、幸はぼんやりと思った。
 彼特有の掴みどころのない印象が影を潜め、本来の整った容貌が際立って見える。どことなく洗練された垢抜けた印象が強くなったように思えるのは、気のせいなすぎないのか、それとも、幸の知らないこの二年間、浩三もまた変わったのだろうか。

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