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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第8章 第三話【波の音】 予感

 幸の瞼に我が子幸太郎の面影がよぎる。意思の強そうな濃い眉、深い光を湛えた瞳、やはり実の血を分けた父子(おやこ)だ、愕くほどよく似ている。今更ながらに、血の繋がりを絶つことはできないのだと知らされる想いであった。
「できません」
 ポツリと言うと、亮平は全く別のことを言った。

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