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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第8章 第三話【波の音】 予感

 だが、今ならば、幸に去られた亮平の心の痛みや傷の深さも思いやれるし、あの激しすぎる亮平の愛し方もまた一つの真摯な愛のかたちであったのだと思うことができる。これまで自分は亮平の烈しい愛に傷ついたとばかり思っていたけれど、傷ついたのは多分、幸だけではなく亮平も同じだったのだろう。
「幸、もう一度、ここで暮らしてみないか」
 いつしか幸の傍らに並び、亮平が言うともなく言った。

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