
1人かくれんぼ〜貴方を呪います〜
第6章 決行
ビックリするのも仕方がない。
振り向いたその女性の顔は、霊感の全くない香織でも、人間では無いことがはっきり分かった。
目からは血の涙を流し、口は耳元まで裂けていたのだから……。
女の子は恐怖からなのか、その場から動けないでいた。
少しの沈黙があった後、その女性が耳元まで裂けた口を大きく広げ、ニヤッと笑いながら、
「夏美ちゃん……み~つけたっ!」
と言うと、ゆっくりとその【夏美】という女の子の方に歩いていく。
右手にはキラッと光輝く包丁を握りしめて……。
夏美はハッと我にかえり、咄嗟にドアノブに手をかけ、開けようとした。
ガチャッ!
ガチャガチャガチャ!
見る限り鍵がついていそうなドアではないが、ビクともしない。
夏美はそこら辺にある物を片っ端から女に向かって投げつける。
物がぶつかる度、女はよろけるが、歩みを止めようとはしない。
