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「葉月、目の下に隈ができてた」
　思い出した。
　ばっちり、くっきりと隈があった葉月の顔。とても疲れているように見えた。
「人と人との関係で、どちらかが一方的に悪いってこと、ないって言われたことがあるけど」
　僕も悪かったのかな。
「ちょっとしたボタンのかけ違いで、すれ違うことってあるよ」
「うん。そうだね」
「ちゃんと葉月と話し合うこと」
「ありがとう。神田」
「どういたしまして」
　帰って、葉月と話がしたい。
「帰るよ。自分の部屋に」
「それが良いね」
「うん」
　自分が飲んだコップを持ち上げて、片付けようとすると、それを神田が止める。
「置いておいて良いよ。片付けるから」
「いや、悪いよ」
　その時、ドアが乱暴にノックされた。
　ドンドンドン
　少し焦ったような、そんなノックの音。
「お迎えが来たかな」