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その時。


サァーッと私と岡田を包み込むように暖かい風が吹いた。


風に吹かれさわさわと揺れる木々の音。

押し寄せるｻﾞﾊﾞｰﾝと波の音が既に暗くなった海岸に響き渡る。



その風に何だか‥変だけど懐かしさを感じた。




岡田は風で靡く私の髪を指でそっと触れて、優しく




「俺と彼氏の分まで一緒に幸せになろう？」



と言ってふわりと笑う岡田の言葉と笑顔が私の揺れる心を一気に埋め尽くす。






「彼氏と俺と３人で幸せになろう？」





“寺島は幸せになっていいんだよ”




“寺島は悪くない”








“彼氏の分まで一緒に幸せになろう”








「‥‥っ、」








私はその場にしゃがみ込んんで堰（せき）を切ったように泣き咽んだ。