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最後のキス~琉球の海を渡る風~

第3章 The wind of Ryukyu~琉球の風~

「―いや」
 藍那はか細い声で訴えた。大粒の涙が溢れ、頬をつたい落ちていった。
 その涙で、王は漸く我に返ったらしかった。
「済まない。どうも、二人だけで狭い場所に降りこめられて、どうかしていたようだ」
 王は自身を恥じ入るかのように言い、自然に藍那の方に手を伸ばした。
 刹那、藍那が怯えて身を退いたのを見て、淋しげに笑う。

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