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最後のキス~琉球の海を渡る風~

第3章 The wind of Ryukyu~琉球の風~

 しかし、王の放った何気ないひと言に、藍那の顔色は変わった。
「ほ、本当に? 大丈夫でございますか!」
 王は単なる虚弱体質というだけではない。侍医によれば、かなりの箇所に生まれながらに疾患を持っているらしいのだが、その一つに心臓が悪いのだと聞いている。
 自分が不用意に泣いたことで王の持病が悪化してしまったのだとしたら。藍那が思わず泣きそうになって問うのに、王は人の悪い笑みを浮かべた。

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