
『幼なじみ』
第27章 待機
拓弥と春斗は・・・
薄暗く細長い通路を
通り抜け・・・
更に人で溢れ返った
VIPのフロアを・・・
グイグイと
掻き分けながら・・・
突き進み・・・
右側の
VIPルームの前に
漸く・・・辿り着く・・・。
そして・・・
落とさないよう
胸に抱えていた
薬物入りの紙袋を・・・
今一度・・・
しっかりと右手に
持ち直した拓弥は・・・
横目でチラッと・・・
大丈夫だよ・・・!
とばかりに・・・
無言で頷く春斗を確認し・・・
【本日貸し切り】の
札が掛かった・・・
曇り硝子の冷たい扉に
左の掌を付け・・・
ゆっくりと・・・静かに・・・
押し開ける・・・。
すると・・・
扉を開けた
少しの隙間から・・・
ミストサウナのような
湿った熱気と・・・
酒に煙草・・・
香水などが入り混じった
悪臭が・・・
一気に漏れ出し・・・
一瞬にして・・・
不快になった拓弥を・・・
不気味に・・・
飲み込んで行く・・・。
『ウッ・・・何だよッ・・・?!
この空気ッ・・・?!
つーか・・・ヤベーな・・・
暗すぎて・・・
何にも見えねーし・・・』
VIPルームの
異様な雰囲気に
戸惑いながら・・・
顔を歪め・・・
恐る恐る中へと入る
拓弥の後ろから・・・
グイッと・・・
扉を押し開け・・・
続いて・・・
部屋の中に
足を踏み入れた春斗は・・・
拓弥の発する
救済オーラを
察知したのか・・・
隣で・・・心配そうに・・・
声を掛けてきた・・・。
