お兄ちゃんはいちご味
第3章 キャラメル味
ゆりに連れられて、誰もいない音楽室まで来た。
ゆりが上目遣いで俺を見て、突然口を開く
「捺、いま彼女いないよね?」
「うん」
「なんで?」
「なんでって……」
どんな質問だよ。
「この前付き合ってた3年の先輩、なんで別れたの?」
「さあね」
「……あ、わかった。髪長かったからでしょ!」
「…………は?」
「…やっぱりそうなんだ。やっぱり捺は、ショートで背がちっちゃくて童顔な子が好きなんだ!」
……もしかしてこいつ、果乃のこと言ってんの?
「果乃ちゃん可愛いもんね!」
「…果乃は妹。」
たしかに果乃は可愛い。
ぱっちりした目、白い肌に黒髪のショートカットが似合う
いわゆる美少女の部類に入るんじゃなかろうか。
こんなこと言うと、またシスコンとか言われそうだけど。
「……じゃあどんな子が好きなの?あたしは?」
ゆりの顔が近付く。
「だーかーら、お前はそんなふうに見れないって言ったじゃん」
中等部の頃から、ゆりには何度かこんなふうなことを聞かれていた
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