お兄ちゃんはいちご味
第12章 触れる体温
目の前にいるお兄ちゃんが、まるで別人のように思えて怖くなった。
首筋を伝う舌の感触、肌をなぞる指の感覚
こんなのお兄ちゃんじゃない…
いつものお兄ちゃんは、意地悪だけど優しい
こんなふうにあたしを乱暴にしたりしない…
「……嫌っ!」
ドンッ
あたしは無意識にお兄ちゃんを突き放していた
その場に座り込んだお兄ちゃんがあたしを見た
「…あ…
「ごめん」
お兄ちゃんの言葉があたしの言葉を遮った。
「……ごめん……俺………」
お兄ちゃんはさっきまでの冷たい表情とは一転、急に我に返ったかのような表情であたしを切々と見つめた。
「…お、お兄ちゃん…?」
「……忘れて。」
「…ぇ…」
「…今の、今したこと……全部、忘れて……」
「…なに、それ……」
お兄ちゃんは気まずそうに顔を歪ませて俯いていた
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える