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理想と偽装の向こう側

第18章 永久と再会

半年前

「すみません。入居するの遅くなってしまって。」



「いえいえ…色々大変だった様ですね。ほぼ全額キャッシュで手続きさせて頂いてたので、後は書類や最終確認くらいでしたから。」



「ありがとうございます。」



アパートから、少し奥に入ったマンションを購入した。



以前、光花とモデルルームを見学に来た時、特にシステムキッチンを気に入ってた物件だ。



「景色もいいですよ。川は見えませんが、花火大会は絶景かと。」



「そうですか…。」



浴衣姿の君も、見たかったな…。



窓を開けて、ベランダに立つ。



そよぐ風が気持ちよく、頬を撫でた。



キャンセルする事だって出来ただろう…。



でも…君と描く筈だった場所を手放したくはなかった。



独り暮らしじゃ広すぎる3LDK。 



設備を揃えたシステムキッチン。



白を基調にした部屋。



しばらく俺は君との日々を思い描きながら、きっと女々しく生きていく…。 



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