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理想と偽装の向こう側

第18章 永久と再会

グラリ…と目眩がして頭を両手で支える。



「小田切?」



「俺…光花の痛みも、辛さも全然分かってやれてなかった…。」



「どうした?」



唇を噛んで眼を瞑る…。



「腕に…爪痕があったんだ…。」



「爪…痕…。そんなに…。」



滝島も表情が曇り、口元を手で塞いだ。 



「でも…俺が会いに行くと…いつも笑顔で…辛そうな顔…全然見せなくて…。本当は、不安で、泣きたくて仕方なかったんじゃないかって…。てか…普通そうだよな…。」



今となっては本音は聞けない…ただ、後悔の念にばかり湧いてくる。 



「もっと…もっと、早く精密検査させとけば…出逢った時にそうしてれば、早期発見で助かってたかも知れないのに…。」



そうしたら…例え再発しても、叶えたかった事を少しは出来ただろうに…。



「俺が…殺したのかも…。」



ふいに、全身に負の感情が覆い尽くす。



「小田切っ!違うだろ!止めろよ!」



「おまえだったら…どう思う…?」


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