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理想と偽装の向こう側

第14章 時限爆弾

『…須永くん…彼女を早く帰してくれないかな。』



車内に響くようスピーカーにして、嘉之は楽しそうに話し続ける。



「はぁ~?何で部外者のあんたにそんなこと言われなきゃならないの?今日は、香織貸してあげるよ。」



「ちょっと!嘉之!」



『…彼女は、モノじゃないだろ。』



「でも、少なからずあんたのもんじゃない…俺たち身体の関係もあるから。昨日だって、時間が許す限り抱き合ってたし…。香織はダウンしたけど、可愛い声だったよ…。」



「なに言うの!止めてよ!」



知られたくないのに!



小田切さんは、分かっていたのか動じることなく



『それが?』



「あんた香織に何もしてないみたいだね…。これからは、ずっと俺が側に居てやれるから、もう相談乗らなくていいよ。今日で最後にしてくんない?」



『納得すると思うか?』



「はぁ?あんた何で香織の側にいるの?」



あっ…それは!



『彼女を守りたいからだ!』



「あっそ!まぁ、もう少ししたら、香織そっち行くよ。せいぜい二人で俺の話しでもすれば!」



嘉之は、そう言うと携帯を切った…と思ったら、私に強引に唇を重ねてきた。



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