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理想と偽装の向こう側

第10章 信頼と疑惑

「寝よう…。」



嘉之が、そう言って私を再度抱き締める。



胸の鼓動を聴きながら、色々思い返す。



元木さんのことは、まだ様子みよう…元々不安定にさせたのは、私なのかも。



だから嘉之も私には、ストレートに感情をぶつけてくるんだろう。



「ねぇ…嘉之…。」
「ん?」



「私を信じて欲しい…。昨日言った通り、嘉之の為なら命掛けられるから…。」



「あぁ…。」



私は嘉之の背中に、手を回し力を込めた。



「愛してるから…。」



「うん…。」



「お願い…。」 



「…分かった。」



私を抱き締める腕の力が、強くなった。 



お願い…私の五年間を…『否定』しないで…。




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