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素直になろうよ

第3章 期待と勘違いと諦めと未練-恋なんてそんなもの

内海課長はニヤッと笑いながら、自販機の前の長椅子にどっかりと腰を下ろして、コーヒーを投げてよこした。


「なんです?これ」

「頑張ってる加瀬宮にご褒美」

「俺、今同じの飲んでますけど・・」

「知ってる。半分嫌がらせだ」

そう言って、いたずらっ子のような顔で俺に笑いかけるの、やめて欲しい。


「そういや、加瀬宮。お前今日夜空いてるか?」

唐突な言葉に、上司だという事も忘れ
「あ?」

と、柄の悪い応答をしてしまった。



「今日、夜、空いてるか?」

同じ質問を二度もさせるなんて、ひどい失態だ。


「仕事が片付いたら、家に帰って寝るだけですけど。なんかあるんですか?」


「こないだの式典で、お前頑張ってくれたから、たまには奢ってやろうかと思ったんだが、行くか?」
「行きます」


ややかぶせ気味な返事に、課長は笑っていた。

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