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貧乳ヒメと書かない作家

第32章 悩める小説家と

「あぁ、もしかして嫌だった?」

千春は桐生の困ったような表情をみて言った。

「え?いや、サインなんて何枚だって書いてやるよ」
なかばぶっきらぼうに言った。



「何枚でも書いてくれるの?」

「え?あぁ」

「じゃあたのんじゃおうかなっ」
そういって千春は鞄の中をあさり始めた。

なんだよ、まだあったのかよ、結構冗談で言ったんだけどなぁと内心ぼやいていた。

桐生は視線を落として、仕方なく渡された小説の最後のページを開いた。

しっかし、これはあの初版本だなぁ。書いたの結構昔のだなぁ、よくこんなもってたぜ。



「あと…これね。
一枚しかないから、これは綺麗に書いてね」

「はいはい、編集さんには逆らえねぇですよ。って…」






それは紛れもなく婚姻届だった。




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