
S×強気で恋になる
第68章 贈り物
軽く抱きしめて、俺がソファーから立ち上がると純平がトロンとした顔でこっちを見た
「いいもん見せてやる。」
「・・・えっち・・?」
「しねーよ。なに?したいの?」
「・・・したくない。気持ちいいの・・してみてーなー・・・」
そう言って純平がそのまま横になる
「おい。いいもん見せてやるってんだ。寝るな。」
ダメだこりゃ
なにが気持ちいいのしてぇ、だ
いっつも気持ちよすぎて失神するくせに
贅沢だなぁ
そう思いながら、鞄からアルバムを取り出す
正直言って、すげー苦労した
こいつ中学生終わりから高校ぐらいからしか写真持ってねーし、それも卒アル程度。
幼少期とか持ってねーから
ちゃんと誰かには愛されてたんだって証、
ちゃんとそこに純平はいたんだって証を
見せてやりたくて
俺の義弟だって聞いて
親父を憎んだけと
それ以上に何かしてやりたくなって
必死に集めた
酷い写真ばっかりだったし
殴られて顔あざできてんのに、笑ってんのとか
他の子より痩せてるのに、可愛い顔したやつとか
友達の群れから離れて下向いてる写真とか
でも、少ない中でもいいやつ厳選して
施設の人とかにも探してもらって
真央ちゃんにも声かけて
親父の書斎から見つけてきて
あいつの学校でそんとき関わった先生から
スキャンさせてもらって
なんとなく集まった写真
こんなことして何になるかはわからないし
果たして喜ぶかも謎だ
もしかしたら本当に思い出したくないかもしれない
だけど、小さな体で笑ってて
ピースしてて、可愛くて、綺麗で
俺なんとも言えない気持ちになったんだよ、本当に
恋してるはずなのに
好きなはずなのに
それ以上に愛しくて、切なくて、守ってあげたくて
そう思いながら、アルバムを手に持ち振り返ると
純平は寝てしまっていた
ダメなやつ
俺はこいつが俺のことを
俺と同じくらい好きになってくれなくても
俺のこと嫌いだって言われても
絶対おりたりしない
強がりで口悪くて無表情で無愛想なのに
中身はこんなに甘えん坊で素直で馬鹿で単純で
泣き虫で可愛くて綺麗なやつ
俺しか触らせねーぞ
俺だけのもんだ
