
小心者の恋事情。
第16章 小心者。
「それでは、今日もお疲れ様でした。」
「「『お疲れ様でした。』」」
終礼を終えて、ぐったりとスタッフルームに向う遅番の面子。
『わおさん、まだ帰んないんですか?』
「ん~。今日現場忙しかったから、事務作業進んでなくて。」
『そっか。手伝う?』
「いいよ、ぼちぼち片付ける。」
『…ん。わかった。頑張ってね!』
入力くらいなら出来るのになぁ。
一人のほうがはかどるのかな?
「平井さん、手、出して?」
『ん?なんかくれんの?』
パッと手のひらを出すと、
上からわおさんの手が重なる。
それからちょっとだけ力が込められて握られた。
『?』
「…外で、森田くんが待ってる。
良かったね。」
…ウソ…!?
「ごめん、
往生際わるい…。」
「大好き。
行かないで…」
