
君のため。
第76章 ~カラオケに~
カラオケ受付。
部屋番号を伝える。
「お連れ様のお名前は?」
「?…~です。」
答えるのに一瞬間が空いた。
そういえば~っていう苗字だった。
名前に馴染みがない。
私達はまだその位の距離感でしかなかったんだ、
とこの時改めて実感した。
部屋をのぞこうとしたけど、ここのカラオケは中が見えない。
聞いた番号の部屋へ。
真っ暗?
いた。
なんだか顔を、姿をじっと見ることが出来ない。
テーブルに突っ伏した私。
…運転疲れた…。今日は道が混んでたし、やっぱりここまで遠いし…
彼は
「どうしたいの?」
1月の別れの日と同じようなことを言う。
また同じように私は答える。
…わからない。
顔を上げると彼は私のすぐ横に。
無理矢理。
