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君のため。

第109章 ◇友達◇

必要なのかどうか。

わからないな。

彼にとって私が必要なのかどうか。

どんな形であれ私と繋がっていたいのかどうか。

綺麗に終わろうとしているメールの揚げ足をとったり。

区切りをつけようと送ったメールに返信いらないよ、って言ってるのに返してくるし。

もう連絡取れないようにと覚悟を決めたメールを送っても、なぜか彼の会社で起こった大問題を聞かされる羽目になったし。

挙げ句の果てにスッキリ私とのことを忘れるためにホテル代を割り勘に、少しずつでも、いつでもいいからなんて、言い出すし。

なんらかの形であれ繋がろうとしている?私とまだ?


でも手応えがない。


多分彼自身も私を引き止めようとは思っていないんじゃないかな。
もしそうだとしても無意識に?


ただ彼の部屋での最後の夜に、

私は聞いた気がする。

…もう私とは終わりなの?

「サナとは…続いていく気がする。だって俺のこと忘れられないんやろ?」

私が忘れられない限り?

私がメールを、
例えその内容が終わりを伝えるメールであっても、
私は彼を忘れない限り送り続けてしまうだろう。何度も。何度も。

それを見越して。
そういうことかな。


思い出した。
最後の夜の別れ際、

…あなたにとって私は何?

「…友達…」

そして握手。

そうだった。

友達だから、別れなんて必要はないのか。

だから彼と私はまだ繋がっているのかな。
これからも繋がっていけるのかな。


…あと私が彼と繋がっていたい
言い訳?として、

だって彼の人生は面白いから。
毎週楽しみにしている漫画が休載になったら悲しいから。
そんな気持ち。


だから、また、結局、
私はメールを送ってしまうんだろうな。

私がメールを送る限り、繋がっていける。

なんか一方通行で嫌なんだけれど。

仕方ないか。

忘れられないんだから。
忘れたくないんだから。

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