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オタクのペット

第14章 永田の秘密

「誰かに幸せにして貰えるならば、永田に幸せにしてもらいたい」

私は首に腕を回して本気で甘えた。

「永田にお願いしてもいい?」

永田は私の意外な言葉にビックリしていた。

「裏切らないよ絶対に。突然消えたりもしないから。だけど、怒らせたり困らせちゃうかも知れないから、そん時はキツク叱ってくれたら、絶対謝るし、言う事も聞く。お願い、私を幸せにして?」

「…するよ、当たり前だ」

ごめんね、悲しかった過去の話を聞き出しちゃって。

そんな事を私が知ったからって、永田の態度が変わるわけでもないのに。

「おまえが泣く事じゃないだろ?」

と私の涙を救いとる。

「弱さや汚点は誰にも見せたくない…でも、永田にだけは素直に聞いてもいい?」

「いいよ、何?」

ポリシーから外れた言葉。

理想と現実は違う。

でも私の理想とは外れた言葉。

現実的な未知なる自分の言葉。

「私、永田と居たら変われるかな?」

それを幸せだと、認めたくなかったんだけど。

「どう変わりたいの?」

私は永田が好き。

私は永田が好きなの。

だから、その、あの、えっと…。

「例えば…」

「例えば?」

なかなか、言えない。

プライドが邪魔をする。

未知なる自分を想像すると、やっぱりどっかキモチ悪い。

他人のために犠牲となる自分。

旦那や子どものために犠牲となる自分。

我慢しながら制限しながら束縛される自分。

やっぱりその先のモノを幸せだと一括りしたくない。

そんな事をする自分は、やはり自分らしくない。

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