
KURO
第2章 それは突然に
「お、お前…何言ってんの?」
いつもなんて、そんなありえる訳がないのに、
自信満々に言うのやめろよ。
「はるは、おかしなこと言うね」
クスッと笑う。
「いや、おかしいのはそっちだ!」
人の部屋で当たり前のようにする態度
何なんだよ。
「え~、はるが俺にそんな冷たいこと言うなんて…。わからない?クロだよ」
そう言って、俺の上に
跨がってきた。
「や、やめろ…っ!お前がクロな訳ないだろ!!第一クロは猫だし…ってクロは!?」
嘘をつくならもっとマシな嘘をつけと思った瞬間、
俺はハッと気がつく。
ク、クロがいない!!
「だから、クロは、お・れ♪」
ニコッて微笑みながら
自分を指差している。
…こいつ、絶対
人の話聞いてないよね?
「とりあえず、通報してもいいですか…?」
多分、この変態が
俺のクロをどこかに隠したんだろう。
もう、一体
何が目的なんだよ。
「あー、もう本当に俺がクロだって信じてないの?」
急にバカなことを言い出す。
「当たり前。信じられない」
それより、早く
俺の上から退いてほしい。
通報ができない。
「じゃあ、一瞬だけだから見ててね」
はっ?と思ったら次の瞬間
ポンッとあの変態野郎が消えて
こつぜんとクロが現れた。
え?何が起こった。
俺は、今起きている状況が呑めず
唖然とするだけ。
「はっ…クロ?」
そう声をかけた瞬間に
またポンッとクロがあの美形に変わった。
「これでわかった?はる」
自称クロは、満足気に
笑った。
「えっ…ちょなんで?どういうこと?」
それとは、反対に
頭上にハテナマークを浮かべる俺。
パニックなぅ。
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