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適当詩

第6章 6

「待って、居る」

手を振って

見送れば

流麗爛々

花吹雪


風に吹かれて

歩いてみれば

微かに薫る

春の花


出会いと別れは

常なれど


門出の祝いと

言うけれど


ああ

どうして

こんなに

込み上げる


想い出というものが

花びらごとに

舞い散って

お前の背中に

重なって


こぼすまいと

見上げた空は

穏やかに

青い


こんなにも

全てが

私に

優しいと


こんなにも

全てが

自然に

愛しいと


もう

私は


もう

私には

言葉はない


せめてお前の

想い出に

せめてお前の

ふるさとに


だから

私は、ここに。



終わり。

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