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「おい、若松」

大きく伸びをしているところに、数学の先生でありあたしたちのクラスの担任である中谷先生が話しかけてきた。


「お前最近真面目に授業きいてないだろ？」

バレてたのか・・・。

「ちゃんときけよ？」

「はい」

「よし、じゃあわかんないとこあるか？」


・・・数学は証明や図形、比例反比例がよくわからない。

「少しわからないところがあります」

あたしがそう言うと、優しく微笑んだ。


こういうところがせこい。

あたしは優しい男の人に弱い。

この先生はそれをわかっているやってるのかな・・・。

・・・そんなわけないか。

「若松、今日の放課後、数学準備室にこいよ。
　わかんないところ全部教えてあげるから」

ニコリと笑って先生は教室から出て行った。