
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第19章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 再会
「私も昨夜はそうだった。トスおじさんが多分、妓房では女の人と何でもなかっただろうと判っていても、やっぱり、面白くなかったし不安だった。妓生って大人の女だし、私のような世間知らずの子どもとでは比較にならないほど綺麗だわ。だから、トスおじさんが私のことなんか忘れてしまって、妓生を好きになったら、どうしようかなんて考えると、居ても立ってもいられなくなった。その時、やっと気づいたの。トスおじさんが話していた〝嫉妬〟の意味は、こういう気持ちだったんだって」
トスは言葉もなくキョンシルを見つめている。その静かな双眸からは、生憎と何の感情も窺えない。
トスは言葉もなくキョンシルを見つめている。その静かな双眸からは、生憎と何の感情も窺えない。
