
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第12章 第二話 【はまなすの咲く町から】 心のありか
「私はそのときの出来事が原因だったのかどうかは判りませんが、その日の夜に産気づいてしまいました」
「そんな―」
キョンシルは手のひらで口を覆った。
「それで、お子さんは」
シヨンが儚く微笑する。
「丸二日かかった難産になりました。結局、生まれた子は亡くなっていたのですよ。泣き声を上げることもなく、誰も祝福することもなく―、静かなお産でした」
シヨンが近寄ってくると、躊躇いがちに手を伸ばし、キョンシルの頬に触れる。
「元気で生まれていれば、丁度あなたと同じ歳くらいだわ。キョンシルさんは幾つ?」
「十五歳です」
「そんな―」
キョンシルは手のひらで口を覆った。
「それで、お子さんは」
シヨンが儚く微笑する。
「丸二日かかった難産になりました。結局、生まれた子は亡くなっていたのですよ。泣き声を上げることもなく、誰も祝福することもなく―、静かなお産でした」
シヨンが近寄ってくると、躊躇いがちに手を伸ばし、キョンシルの頬に触れる。
「元気で生まれていれば、丁度あなたと同じ歳くらいだわ。キョンシルさんは幾つ?」
「十五歳です」
