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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第11章 第二話 【はまなすの咲く町から】 真実

俺と二人でいるのがそんなに嫌になったのなら、そなたはここを出ていけば良いし、出ていくべきだ」
「それは違うわ!」
 自分の声のあまりの大きさに、キョンシルは息を呑んだ。トスと二人きりでいると、あまりに彼の存在を意識しすぎてしまい、居たたまれなくなって逃げるように室を出ていった。確かに、誤解されても仕方のない行動だったかもしれない。が、まさかトスがそのことで〝キョンシルに嫌われている〟と思い込んでいるとは考えもしなかった。
「何が違うんだ。何より、これまでそなたが取ってきた行動がそなたの気持ちを物語っているじゃないか。それにな、キョンシル。もし俺が親父なら、父親はこんな時、必ず娘が幸せになる道を選べと諭すはずだ。俺だって何度も考えたさ。

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